MATERIALS and PROCESSING
部門所属分科会・研究会活動報告
2024年6月
「高分子基複合材料の成形加工に関する研究会」(2016年~)
主査:小林 訓史(東京都立大学)
繊維強化プラスチックス(FRP)は,製品の力学的特性が成形時の様々なパラメータに依存するため,金属材料と比較して特性のばらつきが生じやすく,取り扱いが難しい材料です.本研究会は,2016年7月に設置され,FRPをはじめとした高分子基複合材料の成形と特性の関係について,成功例などの良い事例だけでなく,失敗例を含めたデータベースの構築を通して,本材料の取り扱いをより容易にするため,検討を重ねてきました.これまでのワークショップにおける議論を通じて,繊維基材への樹脂含浸のしやすさを表す浸透係数の測定についてベンチマーク策定を行い,再現性の高い測定法を構築してきました.今年度より,連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料(cCFRTP)についても,基材を提供し,各機関にて評価を行うラウンドロビン試験を始めました.また,ワークショップにおける様々な講演を通して,産学の交流を深めています.
昨年度はコロナ禍の状況を鑑みつつ,対面(ハイブリッド)で4回のワークショップを行いました.
第23回ワークショップ(2023年3月28日,島根大学 次世代たたら協創センター)
- 平山 尚美 (島根大学)「Fe基アモルファス合金の微細構造解明にむけた理論研究」
- 森本 卓也 (島根大学)「繊維強化ゴムの屈曲疲労」
- 坂口 雅人,荒川 陸 (サレジオ高専)「熱間鍛造を用いたTCP/PLA複合材料スクリューの力学的特性に及ぼす鍛造条件の影響」
- 中谷 隼人 (大阪市立大学)「Permeability測定について―大阪市立大学の事例」
- 小林 訓史 (東京都立大学)「Permeability測定について―東京都立大学の事例」
- 宮武 典馬 (京都工芸繊維大学)「Permeability測定について―京都工芸繊維大学の事例」
第24回ワークショップ(2023年6月10日,日本大学 理工学部駿河台校舎)
- 大島 草太 (東京都立大学)「CFRPの層内樹脂割れに対する亀裂進展抵抗の評価」
- Mohammad Fikry,荻原 慎二 (東京理科大学)「An extended variational model for stress analysis in composite laminates with ply discontinuity」
- 小林 訓史 (東京都立大学)「繊維不連続部を有するUD-CFRPの強度に及ぼすオーバーラップ長さの影響」
- 勝間田 紗英,小笠原 俊夫 (東京農工大学)「ドーム・シリンダ接着型CFRP水素タンクにおける継手構造の強度評価」
- 伊村 信祐,中谷 隼人 (大阪公立大学)「繊維不連続部周辺の微小損傷蓄積によるCFRP積層板の擬似的延性」
- Mohammad Fikry(東京理科大学)「Permeability 測定について― 東京理科大学」
- 宮武 典馬 (京都工芸繊維大学)「Permeability測定について―京都工芸繊維大学の事例」
第25回ワークショップ(2023年9月7日,藤倉コンポジット 原町工場)
- 大谷 章夫 (京都工芸繊維大学)「局所加熱をもちいたFRTP積層板の新規曲げ加工法に関する研究」
- 小山 昌志 (明星大学)「CFRP製フライホイールのVaRTM法成形に向けた流動解析の基礎検討」
- 上田 政人 (日本大学)「キンクバンドの局所化を考慮した一方向CFRPの圧縮強度予測」
- 上田 政人 (日本大学)「3DプリントCFRPにおける柔軟設計と高剛性設計」
- 川岸 広樹, Mohammad Fikry (東京理科大学)「Permeability測定について―東京理科大学の事例」
- 大谷 章夫 (京都工芸繊維大学)「Permeability測定について―京都工芸繊維大学の事例」
- 工場見学 (カーボンゴルフシャフトの製造)
第26回ワークショップ(2023年12月22日,宮崎市民プラザ)
- 木之下 広幸 (宮崎大学)「廃ガラス繊維強化プラスチックの再利用に関する研究」
- 大谷 章夫 (京都工芸繊維大学)「繊維直接投入射出成形を用いた天然繊維含有成形品における繊維分散状態および力学的特性に関する研究」
- 井尻 政孝 (東京都立大学)「超音波照射下の水中高速噴流処理を用いた技術による材料表面の高機能化」
- 中谷 隼人 (大阪公立大学)「CFRTP積層板に対するピアスナット取り付けの試み」
- 川岸 広樹, Mohammad Fikry (東京理科大学)「Permeability測定について―東京理科大学の事例」
- 大谷 章夫 (京都工芸繊維大学)「Permeability測定について―京都工芸繊維大学の事例」
本年も4回程度のワークショップと第32回機械材料・材料加工技術講演会でのオーガナイズドセッション(高分子材料を用いた成形加工)の企画を予定しております.
現在検討している面内浸透係数測定法のベンチマーク策定についてはある程度の結果が得られており,論文の形で発表する準備をしています.また冒頭で述べましたが,企業様のご厚意により,cCFRTPの中間基材をご提供頂き,成形性や特性評価に関する検討も始めております.
次回ワークショップは6月,次々回は9月に対面での開催を予定しております.ご興味をお持ちの方は小林(koba@tmu.ac.jp)まで随時御連絡お願いいたします.
「ナノカーボン複合材料の高性能化に関する研究会」(2018年~)
主査:川田 宏之(早稲田大学)
本研究会は,ナノカーボン材料の一つであるカーボンナノチューブの高度利用技術に焦点を当てた産官学の参加者で構成されている研究会です.本研究会では,関心あるテーマの一つとして,紡績可能なマルチウォールカーボンナノチューブ(CNT)から,ポスト炭素繊維の代替品の開発があります.また,他のナノカーボン材料の利用可能な技術の探査も研究対象としていて,幅広く活動しております.研究会では,現在20名強の会員で活動しています.
2023年度もコアメンバーとして,静岡大の井上・島村先生のグループ,岡山大の林先生,東北大の山本先生のグループがそれぞれ活動しております.残念ながら全員が一同に会する研究会は開催できませんでしたが,それぞれのグループが,昨年度の成果を上回る結果を挙げていて,今後の成果が期待できます.一方で,全体の方向性として,新たに溶融紡糸法によるCNT糸の成形に着手し,基盤法とは異なる紡糸法に挑戦しています.CNT の溶媒として超酸であるCSA(クロロスルフォン酸)を用いる手法が最終目標ですが,この紡績法は高純度なCNTを供試材として用いることが可能,またCNTだけに限定されないナノ材料の成形が可能となる点が魅力です.成形に関しては,紡糸の専門である信州大の後藤先生の協力を得ております.
本研究会での最終的な数値目標は高強度炭素繊維の強度(東レT700相当)と同等となっています なお,研究会へのご参加等のお問い合わせは,主査の川田宏之(kawada@waseda.jp)までご連絡下さい.
活動が終了した研究会
「PD(Particle Deposition)プロセス研究会」(2003~2022年)
主査:榊 和彦(信州大学)
「次世代3Dプリンティング研究会」(2013~2022年)
主査:古川 英光(山形大学)
「減災・サステナブル工学研究会」(2016~2021年)
主査:浅沼 博(千葉大学)