Materials and Processing Division

MATERIALS and PROCESSING

部門所属分科会・研究会活動報告平成28年5月

「高次機能性粉末冶金プロセス分科会」

主査:近藤 勝義(大阪大学)

本研究分科会は粉末成形・焼結技術の高度化を目標として,2014年4月より設置されました.2015年度は計4回の分科会を開催しました.

 先ず、2015年8月21日(金)〜22日(土)にグランドサンピア八戸にて焼結研究会(34名参加)と併せて分科会を開催し、以下の講演を通じて粉末冶金の基礎現象と応用に関する議論を行いました。

○ 3Dプリンターと高速遠心成形法を組み合わせたオンデマンドセラミックス義歯の製造−最近の研究状況−
  鈴木裕之(広島大学)
○ 低CTE接合技術について
  近藤宏司(株式会社デンソー)
○ 鉄系非晶質粉末の焼結
  吉年規治(東北大学)
○ マイクロMIM・ポーラスMIM製品の開発と応用
  岩津修・田中茂雄(太盛工業株式会社)
○ 焼結・粒成長シミュレーション
  松原秀彰(東北大学)
○ レーザ照射による粉末の焼結・溶解結合過程のシミュレーション
  品川一成(香川大学)
○ SLM金属積層造形法を応用した多孔質金属薄膜作成の試み
  清水透(独立行政法人 産業技術総合研究所)
○ Al2O3/グラフェン複合材料の作製と機械的性質の評価
  川崎亮(東北大学)
○ WC相を含むサーメットの脱β層形成に及ぼすWC量および焼結雰囲気の影響
  高橋俊行(株式会社タンガロイ)
○ SUJ2材料のプランジ加工を対象としたサーメット工具の耐クラック特性に関する研究
  吉本隆志(金沢工業大学)
○ レーザ3D積層造形によるスーパーアロイの力学的特性
  三浦秀士(九州大学)

 続いて、2015年11月15 日(日)に広島大学にて日本機械学会主催M&P2015(22名参加)を開催し、粉末成形と評価に関するセッションにおいて以下の講演を行いました。

○ CIP 成形中のセラミックス顆粒の崩壊過程のモデリング
  安田公一(東工大),田中諭(長岡技科大),内藤牧男(大阪大)
○ 固気直接窒化法によるAl/AlN 複合粉末押出材の組織構造と力学特性
  大西 玄洋(阪大接合研),今井久志 (阪大接合研),梅田純子(阪大接合研),近藤勝義(阪大接合研)
○ パルス通電焼結によるTi-Nb-Ta-Zr(TNTZ)合金の作製条件の検討
  藤田瑞樹(近大院),京極秀樹(近畿大)
○ 窒化ケイ素粒子添加Ti基粉末押出材の組織構造と力学特性
  今井久志(阪大接合研),近藤勝義(阪大接合研),梅田純子(阪大接合研),KHANTACHAWANA ANAK(King Mongkut KMUTT)
○ 3Dプリンターと高速遠心成形法を組み合わせたセラミックス義歯のオンデマンド製造
  宮野裕基(広島大(院)),鈴木裕之(広島大)
○ 高遠心力下における多孔質体への溶融金属の含浸現象,松岡宏樹(広島大(院))
  鈴木裕之(広島大)

 また、2015年12月16 日(水)に大阪大学において高次機能化粉末冶金研究会(参加者26名)を開催し、チタン系粉末焼結材の高機能化に関する講演ならびにディスカッションを行いました。

○ 粉末冶金法の高度化・高次機能化
  近藤勝義(大阪大学)
○ High-strength aluminum matrix composites with homogeneous carbon nanotube dispersion
  Chen Biao(大阪大学)
○ 純チタン焼結材の強度・延性に対するユビキタス軽元素の機能解明
  三本嵩哲(大阪大学)

 最後に、2016年3月22 日(火)にホテルニューオータニ博多において焼結研究会特別講演会(参加者98名)を開催し、Powder metallurgy materials and processing for innovationと題して、以下の4件の講演が行われました。

○Prof. Kuen-Shyang Hwang (Taiwan National Univ.)
  “Sintering Behavior of Porous and Full-Density Ti-rich TiNi SMA”
○Prof. Jaison Lee (Hanyang Univ.)
  “Sintering Behavior of Bimodal Nanopowder Agglomerates”
○Prof. Ma Qian (Royal Melbourne Institute of Technology)
  “Advances in Additive Manufacturing of Titanium alloys and Aluminium Alloys”
○Prof. Seong - Jin Park (Pohang Univ. of Science & Technology)
  “Novel Powder Injection Molding: Experiments and Simulation”

 本分科会では、本年度も引き続き、粉末冶金プロセスとその評価・解析に関する研究領域において積極的な活動を計画しておりますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。


「PD ( Particle Deposition ) プロセス研究会」

主査:福本 昌宏(豊橋技術科学大学)

工業用3大材料である金属,セラミックス,高分子の数〜数十μm サイズの粉末粒子をガスにより熱プラズマや高速ガスフレーム中に搬送し,加熱・加速し基材上に堆積させることで数十μm を超える厚さの皮膜を迅速に創成する溶射法が,各種産業分野における基幹技術として重要な役割を果たしています.航空機用エンジン部品に適用されるTBC :Thermal Barrier Coating 等が典型的な実用例です.
 ただし,溶射法の制御性は未だ完全に確立されたとは言い難く,プロセスの適用拡大に向けて制御性の確立による皮膜の品質保証が強く求められています.本研究会ではオールジャパンの官学会員相互が,既存溶射法の高制御性・信頼性の確立を目指し,機械,材料,物理,計測,化学などの種々の学術基盤を基に,粒子加熱・加速・積層の物理素過程の解析や作成皮膜の評価に取り組み,これらを連成することで制御指針の確立に向けた学術交流を行っています.
 一方,近年,既存溶射法における材料の溶融が一種の必要悪である反省から,厚膜創成技術分野における新たな潮流として,加熱に代わり高速性の付与による非溶融固体粒子の堆積による新規成膜プロセスが台頭して来ました.Warm Spray,Cold SprayおよびAero-Sol Depositionです.加えて,サブミクロンサイズの微粉末による皮膜の高品位化を意図し,ガスに代わり液体による粒子搬送を特長とするサスペンション溶射法が,にわかに脚光を浴びつつあります.本会では,これら新旧溶射プロセスの総体を粒子積層による膜創成プロセス:PD(Particle Deposition)法として包括的に捉え,成膜における普遍原理の解明,制御指針の確立による同法の発展拡大を志向し,幅広く活動を展開しています.
 前回は平成28年2月12日に産業技術総合研究所・つくばで研究会を開催,充実した学術交流を行いました.次回は平成28年秋期〜29年冬期での開催を予定しています.興味をお持ちの方は随時,福本までご連絡願います.


「アクティブマテリアルシステム(ASM)研究会」

主査:浅沼 博(千葉大学)

機械材料の新展開を目的に,知的材料・構造システム,特に変形機能等を有する新材料システムの構築を目指し,2007年9月以来22回の講演会・見学会を開催した.以下に年度の活動等を紹介させて頂く.
 昨年度は第22回会合・見学会を,日立造船・堺工場で4月28日に開催した.話題提供は,「フラップゲート紹介」仲保氏(日立造船),「エネルギーハーベストの研究動向と今後の展開,減災・サステナブル工学への応用を目指して」安達氏 (中部大)の2件であり,「Hitz防災ソリューションラボラトリー」の見学と懇談会も開催し,大変好評であった.仲保氏始め日立造船の関係各位,遠方にも拘らず参加頂き熱心な討論・助言を頂いた委員の皆様に,厚く御礼申し上げる.
 また,年次大会(9月13〜16日,北大)では,例年通り部門横断セッション「知的材料・構造システム」を支え20件の講演を,セッション「減災・サステナブル工学」を支え8件の講演を,ワークショップ「減災・サステナブル工学の世界展開」を支え6件の講演を実施し,また関連セッションとして,中尾氏(セッション「自己治癒材料・システム」,6講演)との連携を行った.
 さらに,提案中の上記新分野「減災・サステナブル工学」の国際展開に努めた.その成果として,ASME SMASIS 2015において関連セッション継続実施と招待講演の機会が得られ,さらにSPIE Smart Structures/NDE 2016でも,セッションの新規立上げと基調講演の機会が得られた.
 当研究会は今年度8月末で活動終了となるため,今後の展開に向け,皆様方の益々の御指導を期待します.御意見,お問合せ等も併せ,浅沼まで頂けますと幸いです.


「次世代3Dプリンティング研究会」

主査:京極 秀樹(近畿大学)

3Dプリンタ,Additive Manufacturing などの積層造形技術,付加加工技術への様々な動きに総合的に対応するために,京極秀樹近畿大学教授を主査,古川英光山形大学教授を副査とする「次世代3Dプリンティング研究会」を2013年10月に発足させました.本研究会の目的は,米国をはじめとする他国の研究開発動向,各自の研究から生み出されるシーズなどの情報交換による3Dプリンティングに関する広範な調査のみならず,会員相互の交流を通じての「次世代」の3Dプリンティング技術の実現です.発足後,多数のご参加を受け,現在70名以上の会員で活動しています.2015年度は9月に第6回研究会として,JAXA調布航空宇宙センターにて,JAXA航空技術部門 航空プログラムディレクタの大貫 武先生からJAXAでの研究開発に関する広範な取組みをご講演頂きました.講演後,研究会の活動報告を行い,JAXAの展示室,エンジン試験室,さらには,スーパーコンピュータを用いた3Dモデルとその実体モデルの3Dプリンティングに関する見学を行いました.9月の北海道大学での機械学会年次大会では,先端技術フォーラムとして,「「3Dプリンタによるものづくり革新」〜次世代型産業用3Dプリンタの目指すもの〜」を開催し,造形技術から制御ソフトウエア,シミュレーション技術や,航空宇宙分野,自動車分野への応用,品質検査まで多彩な分野に渡る10件の講演を行うとともに,OS「次世代3Dプリンティング」では9件の発表がありました.
 以上のような活発な活動は,2年目のステージゲートを迎えたSIP(内閣府戦略的イノベーション創造プログラム)において,会員が研究代表者などとして関係する5研究課題全てステージゲート突破を果たすなど,めざましい成果を挙げつつあります.研究会へご興味のある方は,秦誠一幹事までご連絡ください.