第96期部門長 秦 誠一(名古屋大学)
先日,「難しい顔写真は嫌われるよ(笑)」と,某学長に諭されました.しかし,本部門,日本機械学会,日本,そして世界の現状は,なかなか笑える状況ではありません.どの学会の会合に出席しても,聞こえてくるのは会員減少と財務状況の悪化ばかりで,まるで今日の日本の縮図です.しかし,見方を変えれば,このような身近な問題を解決していけば,いつかは日本も明るくなるのではと,表情とは裏腹に楽観的に考えています.
そのような状況認識の中,第96期の部門長を拝命いたしました.荻原副部門長,青野幹事を始め,運営委員,各技術委員の方々,そして当部門を上位登録して頂いている会員の皆様と,この難しい時代を柔軟に,そして,できれば楽しく乗り切って行きたいと考えております.思えば,ちょうど一回り前の2006年,助教授になりたてで,右も左も分からぬまま日本機械学会110周年記念事業のロードマップ作成に携わらせて頂いたことが,本部門とのご縁でした.その後も,様々な委員等を経験させて頂き,組織を運営するとは,どのようなことであるかを学ばせて頂きました.微力ながら部門長として,本部門の円滑な運営と一層の改革に尽力することが,本部門から頂いたご恩に報いることとわきまえております.
今期は,9月9日(日)〜12日(水)の関西大学での年次大会を皮切りに,11月2日(金)〜4日(日),米沢の山形大学工学部でのM&P2018の開催,12月7日(金),8日(土)のタイでのASMP開催と,年末に大きな行事が集中しています.そこで,本年度の上半期には,部門を改革して行くための地ならし,準備を精力的に進めたいと考えております.
改革の道しるべとして,部門長への就任に際し,今期の部門長方針を3つ考え,第1回の拡大運営委員会にて委員各位にお伝えしました.僭越かつお恥ずかしい限りですが,この場をお借りして,部門の皆様にもお知らせし,意識共有をして頂ければ幸甚です.1つ目は,部門改組への対応です.学会本部の基本方針は出ていますが,各論は今期に議論されます.本部門の良き伝統と取組みを,改組後も継承できるよう,部門の皆様の言葉を部門協議会などで積極的に発信し,その結果をHP,ニュースレター,インフォメーションメールなどで部門内に周知してまいります.
2つ目は,会員サービスと部門財政基盤の強化です.部門活動の活性化と会員サービス向上は密接な関係があると認識しています.本部門は第1位〜第3位登録者で企業関係者約2,000人に対し大学関係者約1,200人なのに比べ,運営委員の企業関係者は極端に少なく,企業の会員の声が部門運営に反映されにくい構造となっています.本部門を第1位登録として頂いている特別員企業は63社と,他部門に比べ多い本部門は,より企業会員へのサービスと満足度の向上を図るべきと考えます.その第一歩として部門長として,これら特別会員企業をできる限り訪問し,要望を「御用聞き」する活動や,企業会員との懇談会などを進めます.
会員サービス向上には一定の原資が必要です.また,各委員の手弁当による運営も限界が来ています.現運営委員会や,各種講演会,講習会などの運営に汗を流して頂いた委員各位には,旅費など目に見える形で報いるべきと考え,その下地作りを目指します.そのためには,部門の収益を現在より100〜200万円オーダで増収する必要があります.そこで,講演会収入など各種行事の収益力増加を目指します.
最後は,部門運営の効率化,IT化です.企業人はもとより,大学教員も十二分に時間をかけて学会運営にかかわれる古き良き時代は遥か昔に終わりました.必要な情報はメールに埋もれ,部門活動に貢献したくともメールの返信もままならない状況です.そこで,必要な情報やマニュアル,ツールが部門のHPから得られるような環境を整備します.そのために,外部サーバの導入も含めたHPの刷新を進め,より更新しやすい最新のコンテンツ管理システムによるHPの再構築や,英語コンテンツの充実,facebook,twitterなどの利用による情報発信力強化も推進します.
本部門は,材料と加工という,ともすれば異分野とも取られがちな両分野が,車の両輪のように上手く機能し,M&Pサロンや各種講習会,講演会などを活発に運営している良い意味で特異な部門と存じます.本部門の良き伝統,取組みを継承し,さらに発展させるために,時には激しい議論も厭わず,ただし議論の後は楽しい酒を酌み交わしながら,部門の運営,改革に邁進する覚悟です.この1年間の部門長の役責を無事果たし,本部門の活性化に少しでもお役に立てたなら,もう少し笑顔の写真で退任の挨拶を書きたいと願っております.浅学非才なガサツ者ですが,部門登録会員各位のご支援,ご鞭撻を何卒お願い申し上げます.